限られた資源が枯渇しないよう極限まで節制・統制した先に、
持続可能な社会が実現されるのか?
今を生きる私たちに等しく課せられている資源・エネルギー問題。“有限な資源を大切に使わなければならない。人間の知恵で、責任を持って、自然界と資源をコントロールしなければならない”……これが私たちの多くが持つ理解と認識です。しかし、そうした考えと行動の先に明るい未来が待っているのでしょうか。
社会の発展には、エネルギーが不可欠ですが、世界的な人口増加や経済成長に伴い、エネルギー消費量は急増しています。限りある資源をめぐって資源獲得競争が激しくなることが懸念されています。また、資源国の政情などによる供給リスクと常に隣り合わせです。
そして、世界ではすべての人が食べるのに十分な食料が生産されているにもかかわらず、食品廃棄も深刻な問題です。いまだ飢餓や栄養不良に苦しんでいる人々もいます。そして気候変動はそうした食糧の生産・管理に大きな影響を及ぼしています。
様々な問題が絡み合っている社会を持続可能なものとするには、まず私たちの意識を変え、価値観を転換させる必要がありそうです。
『FUSE』では、節制・節約するのとは逆転の発想で、未来の「人間と資源」の可能性を思い描きました。
化石燃料などの既存の資源を長らえる方策だけではなく、太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーの利用や、最新のテクノロジーを使った食品や調理法の開発など、新しい資源をつくりだす方向性は考えられないでしょうか。
人間が自然や資源をコントロールし、生産・消費の流れを管理する唯一の存在として君臨するのではなく、人間も生態系の一部として、自然と共存しながら、生産したものの再分配や再利用など、循環のサイクルを生み出すことはできないでしょうか。
資源が一意で静的なものとされる世界と、資源は大きな循環の中で動的に存在するものとされる世界。
あなたはどちらの世界が持続可能だと思いますか?
現在の価値観の延伸によるビジョン:一元的な資源
- 技術が、化石燃料などの地球に残された資源を枯渇させないよう、より経済的で好循環の資源利用方法を生み出す
- 資源は静的で有限なものなので、大事に使わなければならない
- 資源の生産・消費・循環まで全て人間がコントロールする
- 資源は一元的に人間によりコントロールされ、振り分けられる
工学研究科が思い描く別のビジョン:多元的な資源
- 技術が、化石燃料以外の新たな資源とその利用方法を生み出す
- 資源は動的で循環するものなので、積極的に循環再生させればよい
- 自然と相互依存しながら、自分の資源は自分でまかなう
- 自然や人間以外のエンティティも資源循環のサイクルに含める
望ましい方向性を考えるために考慮すべきバランス
- エコな、経済的な ーーーーー 循環する、融通される
- 一元管理 ーーーーー 地産地消、適地適作
- 自然をコントロールする ーーーーー 自然の中で生きる
関連する工学研究科の研究分野の例
- 次世代マテリアル
- 再生可能エネルギー
- 熱・電気エネルギー
- 原子力・量子エネルギー
- 電池・電源
- 資源循環